望遠スコープとメモ

ミリ波に於いて望遠スコープは必需品である。では何故?一口で言うと“探り時間の短縮” オー
バーに言えば“相手が見つからない”ということです。半値角が狭くピンポイントであることは前項
の角度計でお判り頂けたと思います・・・が、さて実戦上ではどのくらい・・・? ここで私の実体験
をご披露いたします。
昨年8月、142GHzのTRVが完成し、処女航海に栃木、埼玉グループの142G移動実験に参加
した時の事です。大平山の下、河川サイドの田んぼの中、約2kmに分かれセットアップ開始。
先方は JA1KVN,JE1XHP,JH1LUI局、こちらはJA1GLD,JG1MFR,と当局JA1ELV。約15分ほどで
セットアップ完、Lo動くが始めるか・・・・ 5分ほどでKVN局とMFR局がつながる、むろんフルスケ
続いて各局フルスケで確認しあうが、ELVはダメ、相手は2km先に見えるのにビートすらない。
隣のMFR局にアンテナを向き合わせて頂き、周波数を合わせ再度トライ、されどビートなし、こち
らから送信開始!・・・・10分くらい探れどキャリア見つからずとのこと。KVN局を残し次の場所へ
と移動開始、焦るあせる!再度F合わせ後、30分ほど送受繰り返せど双方ビート確認出来ませ
んでした。この日の午後は筑波山と加波山約4kmで実験しましたが、やはり私はビート確認も
出来ませんでした。先輩方はビームがつかめないのではないかなぁ〜 と言われてましたが、私
はスコープの必要性を感じずTRVの性能不足かトラブルと思っておりました。家に帰ってTRVを
スペアナで確認したが悪いところなし、出力も皆さんと同じ15μW位は出ている・・・・?
2週間後いつものメンバーで142G移動実験をやるとの情報に、今度は とばかりに大平山に駆
け込みセットアップ開始、今度は最初に周波数合わせ、2〜3km下界に相手局見えるが、またし
てもショボン! なぜ?・・・
この日の終了間際、重盛さんが自分の望遠スコープを外し、“今度来る時これを付けてみなさい”
と手渡された。この時点で私も打つ手なしで、ビームが合ってないからかな?と思いつつありまし
たので感謝、感激、大きな重盛さんがより大きく見えました。
早速50φのディッシュの上にスコープを取り付け、近所でスコープとアンテナのビーム合わせを
済ませました。はやる気持ちを抑え切れず自分から移動実験の召集願い! 9/16大平山へ
こちら大平山には KVN,XHP局,ELV 下界2〜3km先の大平ぶどう園の駐車場には GLD,LUI,MFR
局が移動、スコープを覗くと、居るいる、ディッシュにかじり付いてる彼等がいる、中央のディッシュ
にこちらのスコープのとんぼを合わせる。先方が3局で同時に送信すると言う。探り開始!1分足
らずでGLD局のキャリア発見!この時11.31分、あんなに出来なかった142Gの交信が、スコ
ープを付けただけで簡単に出来てしまう、つながって見ると皆さんより送受レポートが少し良いで
はないか。感激!また感激!
その後すっかりスコープのとりこになり、75G, 47G, 24G にスコープを取り付け、次々に世界記録、
日本記録の樹立に成功しましたが、まさしくスコープ様さま、重盛様さまです。

望遠スコープの威力を充分発揮させるのに、アンテナとのビームが完全に一致していることが第
一条件
なのですが、これが往々にしてずれてしまっていることが多々あるのです。ずれてしまうと
かえってマイナス効果です、本人はスコープを信じていますからそのポイント付近しか探しません
私は1日、棒に振ったことがあります。(次回に判ったことですが)それ以降135Gの移動は当日
早めに行ってビーム合わせをするようにしております。とりわけ給電系は腫れ物に触るようです。

新しい移動運用地の相互の位置関係は、次回の参考となるため必ずメモしておきます。 私はデ
ジカメに収め、相互の位置関係、注意事項等を写真にメモしております。また添付写真、須走り
口→筑波山のように150kmは見えませんし、筑波山ポイント (+) 印も山並みの遥か上にあり、
目標もなくスコープを合わせられません。このような時はアンテナ本体は動かさず、スコープの+
マーカーだけを目標物となるような所まで移動させ、その目盛数をメモっておきます。例えばガ
スで遠くの山並みが見えない時のために、黄色線のように200m先の道路標識までスコープマ
ーカーを移動させ、その時のマーカーのダイヤル目盛をメモしておきます。次回同じ場所に移動
した時、予めスコープマーカのダイヤル目盛を、下に3回転と14目盛、右に2目盛、 とセットして
スコープを道路標識に合わせさえすれば、ガスで何も見えなくてもアンテナ本体は精確に筑波山
に向けることが出来るのです。
 優れものでしょ!